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 2010年5月19日 参議院本会議 趣旨説明
 ただいま議題となりました、国家公務員法等の一部を改正する法律案 及び 幹部国家公務員法案の両案につきまして、自由民主党の提出者を代表して提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 昨年の総選挙で民主党は、国民との約束であるマニフェスト選挙を展開し、その一丁目一番地に掲げる「脱官僚」、「天下り、渡りの根絶」「国家公務員人件費2割削減」を主張し政権交代を実
現されました。  
 しかし、現政権はその約束を裏切り、日本郵政株式会社社長に元大蔵省の事務次官であった齋藤氏を起用するなど「天下り、渡り」人事を行い、さらに先の衆議院内閣委員会における審査過程で1221名の退職勧奨(いわゆる肩たたき)が行われ「裏下り」の疑惑の存在も明らかになりました。
当然、実態解明の質疑はなされておりましたが、仙谷大臣はごまかしの答弁を繰り返すのみで明確な回答を得ることができぬまま、我が党の質疑者の発言を遮り、強行採決となりました。

  政権政党となってからの民主党は、いわゆる子ども手当法をはじめとする法案の審査に当たり、数の力でねじ伏せる議会運営をされており、民主主義を冒とくするような強行採決を繰り返し、そ
の結果法律の不備が指摘されても、行政が運用でごまかすといった事態となっております。  民主党には参議院での法案審査に当たり、ぜひとも「良識の府」にふさわしい、参議院最大会派
としての責任を果たしていただくことを強く要望いたします。

  さて、私は安倍内閣当時に成立した「国家公務員法等の一部を改正する法律」の審査に携わらせていただきました。この法律は天下りの根絶を目的に各省庁の再就職あっせんを禁止し、再就職あっせんを官民人材交流センターに一元化するとともに、人事の基本も明治時代から続いてきた年功序列から能力・実績主義へ転換することを内容とする画期的なものでありました。

 当時の民主党はこの法案に対し、官民人材交流センターは天下りバンクだとし、再就職等監視委員会の人事にも同意しませんでしたが、今日の政府案を見ておりますと、むしろ新たに設けるセンターを再就職あっせん機関として位置づけ直し、恒久化しようと致しております。

 また、その後の裏下りの横行などに対し、何ら措置が講じられていない一方で、鳩山内閣の閣僚は「早期退職勧奨は続けざるを得ない」などと言い始めております。  かつて民主党は早期退職勧奨の廃止こそが天下り根絶の切り札と訴え、マニフェストにも詳細に明記していたではありませんか。民主党はもはや天下りの根絶を断念したと思わざるを得ません。

 福田内閣は国家公務員制度改革の基本理念、基本方針その他を定める国家公務員制度改革
基本法案を国会に提出し、与野党を超えた真し摯な修正協議を経て成立したところであります。  基本法には国家公務員制度改革に必要となる法制上の措置について、基本法の施行後3年以内を目途として講ずる旨の規定がありますが、内閣官房に置かれる内閣人事局の設置に必要な法制上の措置については3年以内ではなく、基本法の施行後1年以内を目途として講ずることとなっております。
  国家公務員制度改革の推進に当たり、まずもって国家公務員の人事管理を行う部署を置き、その部署には他の行政機関から必要な機能を移管することが重要であると基本法は明確にしているわけであります。

 麻生内閣は基本法に掲げる改革事項について、基本法が定める「3年以内に法制上の措置を講ずる」を1年短縮して「2年以内」にするなど、何を、いつまでに実現するかという全体像を明らか
にした画期的な「工程表」を決定しました。  
 麻生内閣は「工程表」に引き続き、基本法の規定に基づいて内閣官房に内閣人事局を置き、幹部職員等の適切な人事管理を行うとともに、国家公務員の人事管理に関して担っている機能を総務省、人事院など他の国の行政機関から内閣人事局に移管することを内容とした「国家公務員法等の一部を改正する法律案」を昨年3月、国会に提出しました。  しかし残念ながらこの法案は、ほとんど審査を行うことができないまま、衆議院の解散により廃案となりました。

 基本法が目途としていた「1年以内」は既に経過いたしましたが、鳩山内閣におきましても今国
会に「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が提出されました。  今回の政府案の提出は、基本法を当時の与野党が共同で修正し成立させたという事実からすれば当然のことであり、政府案にも内閣人事局の設置に必要な法制上の措置は講じられていると言えるかもしれません。しかし、その内容は驚くべきことに、政権交代前の法案に規定されていたものよりはるかに後退した内閣人事局をつくろうとするものになっています。
 基本法で内閣人事局には、総務省、人事院その他、国の行政機関から必要な機能を移管する旨を定めているにもかかわらず、政府案は、必要と思われる機能を一切移管しておりません。  政治主導で政策を遂行しようとするならば、それを実現できるチームをつくること、すなわち、人事がかぎであります。政府案により設置される内閣人事局では余りにも器が小さすぎ、これでは官僚依存からの脱却などできるわけがありません。
  政府案では幹部の人事制度についても定めていますが、これも、政治主導の確立や、年齢や官民を問わず、やる気と能力のある人が集まる霞が関の実現とはほど遠い内容であります。
すなわち幹部職員について、彼らを対象とした新たな制度を設けることなく、一般職の範囲にとど
めるという、基本法の趣旨に反する内容になっているのです。また、給与体系にも手をつけようと
していません。

 政権交代前の政府案と今回の政府案を比較すればするほど、鳩山内閣が、かつての主張を捨て官僚依存の温存、天下りの温存に突き進もうとしているのではないかと思わざるを得ません。  政権についた途端、官僚依存が楽でいいと考えたのでしょうか。あるいは、公務員の労働組合の
主張に配慮せざるを得なくなったのでしょうか。

  このたび我々は、本院に送付されてきた政府案に危ぐ惧を抱き、基本法の趣旨に沿った国家公務員制度改革はかくあるべし、という考えを法案にまとめ、提出いたしました。
 以下、その概要を御説明いたします。

 まず第一に、基本法の趣旨に沿って、内閣人事局に総務省、人事院、財務省などから幹部人事の一元化のために必要な機能を移管いたします。例えば総務省であれば定員管理機能、人事院であれば級別定数管理機能、財務省であれば給与に関する機能などであります。また、内閣人事局には、新設の機能として、総人件費管理の機能も持たせ、その管理を徹底させます。
 第二に、幹部職員を特別職とし、新たに幹部職員について適用すべき任用、分限等の基準を定める幹部国家公務員法を制定いたします。
 三十万人の国家公務員のうち、〇・二%に当たる約六百人の幹部職員については、能力・実績主義だけではなく、内閣との一体性の確保にも配慮した人事管理を行うこととし、政権のニーズにこたえた人事配置を可能にします。例えば、優秀な若手職員や民間の有能な人材を幹部に抜てき登用するためには、当然、幹部ポストにある人を幹部から外す人事が必要であります。
 このため、幹部国家公務員法では、内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行う上で必要と判断するときに、幹部を、幹部より一ランク下である管理職の最上位(いわゆる課長級)まで降格することができる制度を設けております。
  このほか、幹部国家公務員法では幹部職員の適格性審査、公募、給与などについて定めております。
 また、事務次官などのポストは廃止し、幹部国家公務員法の施行から6ヶ月以内に幹部ポスト全体を再整理することといたしております。
 第三に、課長以下の一般職の給与体系についても、抜本的な改革を早急に実行する必要があります。
 給与体系全体の改革を実行しない限り、総人件費改革はできません。このため、我々の法案では、今年中に給与制度の抜本的な見直しを行い、法制上の措置を講ずることを定めております。  第四に、いわゆる裏下りを根絶するため、あっせん禁止違反に刑事罰を科すこととしております。
また、官民人材交流センターが従来行ってきた再就職あっせんは、分限免職時を含めて直ちに廃止し、センターは、給与体系の抜本見直しとあわせて廃止することといたしております。

 以上が、両案の提案理由及びその内容の概要であります。
 我々の提案する法案は、基本法に定められた方向に沿って国家公務員制度改革を推進しようとするだけでなく、やる気と活力と能力のある公務員が真に国家国民のために働ける体制を実現することにより、正しい政治主導を確立しようとするものであり、そのための幹部制度、内閣人事局の仕組みなどを構築し、天下りの根絶、人件費改革も実現するための制度を定めるものであります。
 議員各位におかれましては、国家公務員制度改革に必要な法制上の措置を講ずるまで、あと1年しか残されていないことを念頭に置いた上で、政府案と我々の提出した法案のどちらが真に改革を実現しようとするものであるかを真し摯に御検討いただき、何とぞ、我々の提出した法案に御賛同下さいますようお願い申し上げて趣旨説明を終わります。 (了)
   
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